ムービー!ブレイク?
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クラッシュ
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メインブログの「エンタメ!ブレイク?」から記事移行中です。クラッシュ→http://osapi.air-nifty.com/tokyo/2005/12/post_2266.html


今日、人生が終わってもいい。
ただ、この作品だけはもう一度観たい


※レビュー (12月上旬鑑賞:試写@銀座)
舞台:アメリカ合衆国>ロサンゼルス

2月11日、日比谷シャンテ シネ、新宿武蔵野館ほか全国順次公開
配給:ムービーアイ
■公式サイト
http://www.crash-movie.jp/
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 試写室で鑑賞したのが2ヶ月も前。観てショックと受けたというか心がクラッシュしてしまってから、どうしてもレビューを起こす気にならなかった。小賢しい言葉がわずらわしく、放心して打ち砕かれてしまったのである。これまでに観たどの作品にもあてはまらない。どのように伝えるべきか…。

 さて、恐るべき心的破壊力を持った作品である。それは、戦争映画で描かれる差別や虚しさの類ではない。ここに描かれている物語はぴったりと心に寄り添い、不意に鋭い刃を向ける。例えば近所で、あたかも自分が遭遇するかもしれない身近な事件のようである。ちなみに東京・新宿歌舞伎町そばに住んでいるからではない。

 映画への期待とは違う地味なオープニングでは、テールランプがぼんやりと画面を走る。
 「触れ合いだよ。…」
 冒頭で発せられるグラハム(ドン・チードル)の台詞は何のことを言っているのだろう??? オープニングはグラハムの目に映っている夜の道路なのだ。

 おそらくそこそこのレビューや評価に触れてから鑑賞する人は、期待に胸膨らませていくはずだ。しかし、そんな囁きからスタートする、この作品にちょっぴり不安を抱くことだろう。「なんだかなあ」と。この映画は序盤、我々観客を物語に巻き込まない。感情移入できる演出を一切排している。
 さらに物語の進行が早く、登場人物も多い。ぼやぼやしていたらクラッシュどころかスリップ、スリープしてしまう。

 が、ある時点から数多くの散らかっていたエピソードが、ギュッと一つになっていくのだ。それは、「これのどこがアカデミー賞ノミネートなの?」と思い始めた頃からである。突然スクリーンに血が通い、翼が生えたような躍動感を持ち始める。一瞬たりとも目が離せなくなる。

 ある男は思う。ただこの街で必死に働き、人並みに生きようとしているだけなのに、なぜ人種の違いだけで怪しい奴と思われ、自尊心すら傷つけられ、大切な家族までが犠牲に…。

 ある女は思う。不満はない裕福さを手に入れているのに、どうして不安が襲ってくるのだろう。

 ある男は思う。なぜ妻はロスで生き抜くための現実を理解しないのだろう。

 ある女は思う。不当な恥辱への抵抗がなぜ悪いのだろう。なぜ夫は黙っているのだろう。

 ある男は思う。この仕事に就いたのはこんなことのためじゃない。なぜこんなことに?

 ある女は思う。なんて都合のよい息子だろう。
 
 ある男は思う。成功と金の何が悪い?

 ある女は、ある男は…。

 さまざまな人種、階層、性別の願望、感情が入り乱れる。善意が裏返り、悪意が裏返る。誰しもが平和でありたいと思っているのに、何事もなしではいられない。何かが自分を狂わせる。迷わせる。いらいらする。怒りがこみ上げる。誰かにぶつける。誰かが傷つく。そして、怒りをぶつけられる。傷つけられる。不安が襲う。哀しみが広がる。深く、深く。

 監督ポール・ハギスはロサンゼルスという場所をハダカにした。車移動の街ロスは、見知らぬ者同士の肌の触れ合いが少ない。人間がなかなか見えない。しかし、人間は誰かと繋がって生きているものだと。きっと「クラッシュ(衝突)」は、繋がりの表明なのだと作品はメッセージする。

 すばらしいのは脚本だけではない。羽が生えたように軽やかに動き、人物に限りなく接近するカメラワークが奇跡の瞬間を見せる。俳優陣が素顔に近いと思わせるほどのリアルな瞬間を導く。こんなサンドラ・ブロックは見たことがない!そして、祈りにあふれる聖歌のようなアンビエント音楽が、画面に光を与え、闇を照らす。

 私は胸が張り裂けそうに、叫びそうになった。泣き出しそうになった。厳しくも温かく、やさしくも残酷。

 最後のシーンで、人種が交じり合う交差点で次のクラッシュを目撃することだろう。その視線は、天使のように下界を見つめながら浮上していく。なぜなら…。

 「天使」を意味する街「ロサンゼルス」のクリスマスの寓話なのだから。
 
 ご覧あれ。そして幸あれ!

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テーマ:絶対見てほしい洋画 - ジャンル:映画

コメント
この記事へのコメント
TBさせてもらいました
本当に素晴らしい映画ですよね。
なんとも言えません。
2006/02/19 (日) 18:29:02 | URL | ef #-[ 編集]
お引越しですね
こんにちは。
>「天使」を意味する街「ロサンゼルス」のクリスマスの寓話なのだから

=映像が本当にファンタスティックでした。不思議な気分で後味がよくって。
後からもじわじわ感動の波が押し寄せてきます
2006/02/19 (日) 18:51:36 | URL | charlotte #gM6YF5sA[ 編集]
TBありがとうございました!
こんにちは!
この映画、僕もグッと来ました。
特に前半が若干まったりしていただけに、後半部分での畳み掛けるクライマックスの連続が何とも凄かったです。
映画館を出たら世界がちょっと違って見えた、最近滅多にない素晴らしい映画でした。
2006/02/19 (日) 19:48:10 | URL | Ken #-[ 編集]
TBありがとうございました~
こんばんわ!
後半嗚咽をこらえながらの鑑賞でした
ほんと素晴らしい作品ですよね!!
なんとも言えない不思議な気持ちで映画館を後にしましたよー

ところでお引越しされるのですね~!
同じFC2なんてなんか光栄です!
2006/02/20 (月) 01:04:14 | URL | さわわ #-[ 編集]
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